

今回は、アプリやWebサービスの運営にて重要視されているKPIの一つである「エンゲージメント」についての分析手法と、向上させるアプリマーケティング施策について解説します。アプリはWebサービスよりもコミュニケーションの双方向性があり、アプリがアンイストールをされなければ、継続的に使われ続ける機会が多いというメリットがあるため、「エンゲージメント」の概念の理解と、それを向上させるためのアプローチ方法について理解することで、より効率的なアプリの成長が見込む事が可能になります。
アプリにおけるエンゲージメントとは?
そもそもエンゲージメントとは、何を指すのでしょうか。
エンゲージメントという言葉は様々な文脈で用いられ、その時々で様々な意味合いを持つキーワードです。特にオンライン上のサービスではよく使われます。今回は、アプリにおけるエンゲージメントに焦点を絞って、解説します。
一般的にエンゲージメントとは、好意度や満足度、愛着度などといった意味で使われます。
アプリにおいては、多くはユーザーがアプリをインストールした後に継続して使い続けてくれているかどうかを指しています。
エンゲージメントを測定する指標としては、継続率、課金率、起動頻度などがよく用いられます。
アプリのエンゲージメントが重要な理由
そもそもなぜ、アプリにおいてエンゲージメントが重要と言われるのでしょうか。主な理由は下記です。
現在公開されている多くのアプリでは、無料でインストールをすることができます。
インストール後もずっと無料で使えるアプリも存在しますが、多くはアプリ内での従量課金やサブスクリプションによる課金が採用されています。インストール時点で売上が発生する有料アプリとは異なり、アプリをインストールしてもらった後に継続してもらうことが売上に繋がる可能性を高めるため、エンゲージメントが重要になります。
ここでの主な理由は2つあります。
①コスト削減になるため
インストール広告を出稿し新規ユーザーを獲得している場合には、既存ユーザーの定着を促進することで、その分獲得する必要がなくなるため広告費用を削減できます。ASOなどによるオーガニックのユーザー獲得を目的とした施策の場合においても、そこにかけるリソースを削減することができます。
②ユーザーのLTV向上につながりやすいため
また、インストール数は増えるものの、ユーザーが思うように定着していない場合には、まずその原因を分析し、改善する必要があります。その状態が改善されていないままユーザーの獲得数を増やしても、CPIよりもLTVが低いという状態になりかねません。
ダウンロード後のユーザー体験を向上するためのアプリ改修や、パーソナライズしたアプリ内マーケティング施策により、ユーザーの満足度を上げて、継続、LTVの向上につなげることができます。
IDFAの取得がiOS14.5からオプトイン化されたことにより、オンライン広告でインストール獲得するために必要なデータの取得量が減少したため、インストール後のエンゲージメント向上が相対的にますます重要になってきています。詳しくはこちらの記事を参照ください。
https://data.metaps.com/blog/2021/06/30/idfa_opt-in/
エンゲージメントを測定する際に用いる分析方法と指標
前提として、エンゲージメントを測定する際に用いる分析方法や指標は、アプリの目的やビジネスモデルによって異なります。
継続率(リテンション)分析
図1「継続率分析_Metaps Analytics」
継続率分析は課金モデルを問わず、多くのアプリのエンゲージメントの分析に用いられています。継続率を向上させる代表的な施策としてプッシュ通知がありますが、それ以外の施策やポイントについては下記の記事を参照ください。
ファネル分析
図2「ファネル分析_Metaps Analytics」
ファネル分析は、ユーザーがアプリ内で理想的な行動ができているかどうかを測定するために、特定行動の遷移を測る分析手法です。
例えばサブスクアプリにおいては無料・有料プランの加入状況、特定機能の利用状況、ゲームアプリにおいては、チュートリアルの突破などがファネルとして設定されることが多いです。
具体的なファネル分析の方法についてはこちらで詳しく解説しております。
【企画〜リリース初期アプリ向け】見ておくべきKPIとデータ活用のススメ
ファネルとしてユーザーのアプリ進行状況を可視化することで、どこで歩留まりが悪くなっているかを認識できるため、より深い分析や機能改善に繋げることができます。
フリークエンシー(起動頻度)分析
図3「フリークエンシー分析(ユーザー)_Metaps Analytics」
フリークエンシー分析は、特定期間内のユーザーの起動頻度ごとに、ユーザー数や貢献売上の割合を分析する手法です。起動頻度については、アプリの目的や形式により異なりますが、広告モデルでマネタイズをしているメディアアプリやニュースアプリ、天気アプリなどではよくエンゲージメントの評価として用いられます。
図4「フリークエンシー分析(売上)_Metaps Analytics」
また、アプリ内課金のあるアプリにおいては売上の7-8割が5日以上の高頻度の起動ユーザーで構成されているということが多いため、高頻度のユーザーがアプリ内にどの程度いるのかを定点観測する事は非常に重要です。
NPS分析
nps分析は、サービス満足度を11段階で答えてもらう手法です。
継続率やファネル、フリークエンシーなど、ユーザーの行動データを元に分析する手法とは異なり、定性的なアプリに対する満足度のコメントと定量的なサービス満足度のスコアリングの2軸で分析をすることができます。
これまで紹介してきたエンゲージメントの指標を使い、ユーザーのアプリの利用頻度や継続率別にセグメントを分けて実施することでより細かく、精度の高い評価が可能となります。
エンゲージメントを向上させるマーケティング施策
各指標を向上させるアプリマーケティング施策を実行する前に、ユーザーの育成フェーズごとに、適切なタイミングに、適切なチャネルで、適切な訴求のコミュニケーションをする必要があります。
そのためにはまず、現状の把握・分析と施策立案における仮説立てが欠かせません。
これを行わずにプッシュ通知やポップアップなどの施策をただ行っても、結果の効果検証が適切に行えず、次の施策に活かすためのデータの蓄積が行えません。
ユーザーのアプリ内での進捗度合いをファネル分析で可視化して、歩留まりが悪い原因をイベント突破データ、カスタマージャーニーを用いた定量分析を行い、適切なタイミングに適切なチャネルで適切な訴求を行う必要があります。
実行するための3つのステップについてそれぞれ解説します。
1.データの可視化
まず欠かせないのが、アプリのインストール数やユーザー数だけではなく、アプリにとって重要になりそうなKPIのデータを可視化することです。このデータから現状分析から課題の特定や、施策の仮説立て、マーケティング施策の評価などを行います。
どんなデータを可視化するべきかについては、下記の資料にて解説しております。
【企画〜リリース初期アプリ向け】見ておくべきKPIとデータ活用のススメ
2.データ分析
データを可視化することができたら、次はそのデータを分析することにより課題の特定を行います。エンゲージメントを測定する分析手法として紹介したファネル分析では、より視覚的にアプリの健康状態が把握できるため、地点ごとにイベントデータを取得しておくことをお勧めします。
3.マーケティング施策の実行
データ分析により課題の特定ができたら、いよいよマーケティング施策の実行です。プッシュ通知や、アプリ内メッセージ、UX改善などを繰り返し、アプリに対するユーザーのエンゲージメントの向上を目指します。
上記の3ステップの中で、データの分析手法の特徴やアプリ内マーケティング施策の特徴を理解して、課題に対しての施策を組み合わせていくことが重要です。
より詳細なケーススタディは下記の資料にて解説していますので、興味のある方はご参照ください。
・成功の鍵を握る! サブスクアプリのデータ活用の全て
(https://data.metaps.com/white_paper/white_paper_8)
・ファン育成のためのアプリ内マーケティング設計のコツ
(https://data.metaps.com/white_paper/white_paper_4)
・店舗アプリのデータ分析は何をするべき?収益構造と見るべきKPIもまとめて解説!
(https://data.metaps.com/blog/2021/05/20/about_data_analysis_of_store_apps/)
・店舗アプリの売上に繋がるマーケティング施策を解説
(https://data.metaps.com/blog/2021/06/11/about_store_apps_marketing/)
Metaps Analyticsについて
「Metaps Analytics」は広告計測とアプリ分析、CRM施策の機能を備えたアプリのマーケティングプラットフォームです。広告流入経路の判定(QRコードの発行、QRコード別の流入経路も測定可能)、ユーザー行動の分析、プッシュ通知、アプリ内ポップアップ等のアプリ内施策までを1ツールで実現します。また、報告書やレポートが作りやすい、直感的で見やすいダッシュボードになっており、カスタマーサポートが充実しているのでアプリ分析ツール運用初心者の方にもおすすめです。